ある屏東市民の好奇心

先日、「職人町」の前を通りかかった。屏東市の中心部にある文化クリエイティブ拠点だ。2019年に開業したときは、それなりに話題になった。林務局の古い宿舎をリノベーションした青年起業拠点。聞くだけなら面白そうな話だ。改修を終えて再オープンしたと聞いたので、ついでに寄ってみた。

現地の様子に、少し引っかかるものがあった。空間は狭くないし、古い建物の雰囲気も残っている。それなのに、人の入りは思っていたより寂しい。職業柄、ひとつの空間を見ると、その背景を知りたくなる。

そこで、調べ始めた。

どれも公開情報だ。政府電子調達システム(政府電子採購網)に載っていて、誰でも閲覧できる。2025年に耐震補強工事が一件発注されていて、総額は約NT$1,319万。財源は労働部の「前瞻インフラ計画」第5期特別予算による補助だ。この建物の所有権の帰属や賃貸借の状況も、すべて公式に公告されている情報である。

調べているうちに、この補助金がどういう経緯で出たのかが気になってきた。

台湾には政府情報公開法がある。その第9条は、誰でも政府情報の提供を請求できると定めている。特別な身分は要らない。理由を説明する必要もない。これは憲法が市民に与えた道具だ。特権ではない。最初からそう設計された条文である。

だから、使ってみた。

屏東県政府の労働・青年発展処に請求を出した。見たいのは、この前瞻インフラ計画予算の補助金申請書だ。県はこの場所を何だと説明し、何をする計画で、どんな効果を見込むと労働部に書いたのか。

法律上、行政機関は15営業日以内に回答しなければならない。

市民が行政を監視するのに、理由はいらない。要るのは忍耐だけだ。

一緒に待ってみよう。2026/05/02


本稿の初出は方格子(Vocus)、2026.05.02。